坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
- 1 サブリース・転貸事業者でも立退料を交渉できる場合があります
- 2 サブリース・転貸の立退料相場は家賃約10.7か月分が一つの傾向です
- 3 サブリース・転貸の立退料で最初に確認すべき契約関係
- 4 マスターリース契約の解約・更新拒絶と正当事由
- 5 原賃貸人・サブリース事業者・転借人の三者関係を整理する
- 6 転貸収益・賃料差額・管理収益をどう整理するか
- 7 転借人対応にかかる費用とリスク
- 8 シェアハウス運営で立退料が問題になる場合
- 9 立退料として検討し得る主な費目
- 10 貸主から提示された立退料が低い場合の進め方
- 11 原賃貸人・転借人との合意書で注意すべき条項
- 12 裁判例から見るサブリース・転貸事業者の立退料
- 13 交渉前に準備すべき資料
- 14 弁護士に相談すべきケース
- 15 よくある質問
- 16 まとめ
サブリース・転貸事業者でも立退料を交渉できる場合があります
サブリース事業者、転貸事業者、マスターリース契約上の賃借人、シェアハウス運営者などが、所有者や原賃貸人から建替え、老朽化、売却、自己使用、更新拒絶、解約申入れを理由に退去を求められることがあります。
この場合、まず確認すべきなのは「誰が誰に対して、どの契約に基づいて明渡しを求めているのか」です。通常のテナント立退きでは貸主と借主の二者関係が中心ですが、サブリース・転貸では、原賃貸人、サブリース事業者、転借人という三者関係になります。
サブリース事業者に賃料滞納や重大な契約違反がないのに、原賃貸人側の事情で契約終了を求められている場合は、立退料を交渉できる余地があります。もっとも、サブリースなら必ず高額になるわけではなく、契約類型、転借人の有無、転貸収益、転借人対応費用、正当事由の強さを総合して判断されます。
サブリース・転貸の立退料相場は家賃約10.7か月分が一つの傾向です
裁判例データの傾向では、サブリース・転貸の立退料は、平均値で家賃約10.7か月分と整理されています。医療、飲食、小売、工場などの営業用テナントに比べると、平均倍率は低めに出ています。
家賃約10.7か月分という数字は、サブリース・転貸に関する裁判例を集計した傾向です。すべてのサブリース契約でこの倍率になるわけではありません。シェアハウス運営のように投資・改装・複数転借人対応が大きい事案では、これより大きな金額が問題になることもあります。
交渉では、「平均で約10.7か月分だから、この金額で足りる」とも、「平均より低いから不当」とも単純にはいえません。原賃料、転貸賃料、賃料差額、管理収益、転借人対応費用、設備投資、明渡し工程を資料で説明することが重要です。
サブリース・転貸の立退料で最初に確認すべき契約関係
サブリース・転貸では、契約書のタイトルだけで判断しないことが大切です。「管理委託」「一括借上げ」「マスターリース」「サブリース」「転貸借」「家賃保証」などの言葉が混在していても、実際に建物を使用収益させ、対価として賃料を支払う関係であれば、建物賃貸借として整理されることがあります。
| 確認する関係 | 主な内容 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 原賃貸人とサブリース事業者 | マスターリース、原賃貸借、一括借上げ、家賃保証の内容 | 原賃貸借契約書、マスターリース契約書、更新契約書 |
| サブリース事業者と転借人 | 転貸借契約、入居者・テナントの契約期間、賃料、退去条件 | 転貸借契約書、転借人一覧、賃料台帳 |
| 転貸承諾 | 原賃貸人が転貸を承諾しているか、承諾の条件があるか | 転貸承諾書、契約条項、メール・通知書 |
| 契約類型 | 普通借家か定期借家か、期間満了か解約申入れか | 契約書、定期借家説明書、更新拒絶通知、解約通知 |
| 終了原因 | 更新拒絶、解約申入れ、合意解約、債務不履行解除のどれか | 内容証明、通知書、交渉記録、合意書案 |
契約関係を整理しないまま明渡し合意書に署名すると、原賃貸人との関係では退去義務を負いながら、転借人との関係では退去させられないというリスクがあります。
マスターリース契約の解約・更新拒絶と正当事由
マスターリース契約やサブリースの原賃貸借が建物賃貸借と評価される場合、原賃貸人による更新拒絶や解約申入れには、借地借家法上の正当事由が問題になり得ます。
正当事由では、原賃貸人が建物を使用する必要性だけでなく、サブリース事業者が建物を使用して事業を継続する必要性、従前の契約経過、建物の利用状況、建物の老朽化・現況、立退料の提示などが総合的に考慮されます。転借人がいる場合には、転借人の居住・営業への影響も無視できません。
- 建替えや売却の必要性がどの程度具体的か
- サブリース事業者がその物件で事業を継続する必要性がどの程度あるか
- 転借人が何人いるか、退去や移転が現実的に可能か
- サブリース事業者がどの程度の投資をしているか
- 原賃料と転貸賃料の差額、管理収益、運営利益がどの程度か
- 原賃貸人が提示する立退料が、損失や対応費用をどの程度補えるか
定期借家契約の場合や、合意解約、債務不履行解除の場合は、普通借家の更新拒絶・解約申入れとは前提が変わることがあります。そのため、まず契約書と通知書を確認し、どの法的構成で退去を求められているのかを把握しましょう。
原賃貸人・サブリース事業者・転借人の三者関係を整理する
サブリース・転貸の難しさは、原賃貸人との合意だけでは終わらない点にあります。サブリース事業者が原賃貸人との間で退去に合意しても、転借人が退去しなければ、明渡しを完了できないことがあります。
| 関係者 | 主な関心 | 交渉で確認すること |
|---|---|---|
| 原賃貸人 | 建替え、売却、自己使用、サブリース契約の終了 | 退去期限、立退料、原状回復、転借人対応の負担者 |
| サブリース事業者 | 転貸収益、管理収益、投資回収、転借人対応、損失補填 | 賃料差額、運営費、投資額、転借人対応費用、合意書 |
| 転借人 | 居住継続、営業継続、移転費、退去時期、敷金精算 | 退去合意、移転先、移転費、通知、原状回復、清算条項 |
転借人が居住者である場合と、飲食店・小売店・事務所などの事業者である場合では、必要な説明や補償の内容が変わります。転貸先が飲食店であれば厨房設備や常連客、小売店であれば在庫や商圏、事務所であれば通信回線や取引先通知も問題になるため、業種別の事情も併せて整理する必要があります。
転貸収益・賃料差額・管理収益をどう整理するか
サブリース・転貸事業者の立退料では、通常の店舗売上とは異なり、原賃料と転貸賃料の差額、管理報酬、共益費、清掃・管理費、空室リスク、入居者募集費、広告費、設備投資、家具・家電・内装投資などが問題になります。
交渉では、単に「将来得られるはずだった利益」を大きく主張するだけでは不十分です。契約期間、更新可能性、過去の入居率、空室期間、転貸差益、管理コスト、投資回収状況、転借人対応費用を分けて説明しましょう。
| 項目 | 説明する内容 | 資料例 |
|---|---|---|
| 原賃料 | 原賃貸人に支払う家賃・共益費 | 原賃貸借契約書、賃料支払履歴 |
| 転貸賃料 | 転借人から受け取る家賃・共益費 | 転貸借契約書、賃料台帳、入金履歴 |
| 賃料差額 | 原賃料と転貸賃料の差額 | 収支表、月次損益資料 |
| 管理収益 | 管理料、清掃費、共益費、運営報酬 | 管理委託契約、請求書、会計資料 |
| 運営費 | 清掃、広告、入居者募集、修繕、家具家電、システム費 | 領収書、請求書、固定資産台帳 |
| 投資未回収 | 内装、家具・家電、共用設備、改装費などの未回収部分 | 工事見積、領収書、写真、減価償却資料 |
将来の転貸収益がすべて補償されるとは限りません。契約期間、正当事由の強さ、投資回収状況、資料の信用性によって評価が変わるため、過大な一括請求ではなく、根拠を分けて積み上げることが重要です。
転借人対応にかかる費用とリスク
サブリース・転貸の立退料で見落としやすいのが、転借人対応です。原賃貸人との合意だけを急ぐと、転借人に対する説明、退去合意、移転先確保、敷金・保証金精算、原状回復、残置物処理、クレーム対応が残ってしまうことがあります。
- 転借人への通知文作成・説明会・個別説明
- 転借人との退去合意書・清算書の作成
- 転借人への移転費、退去合意金、返金対応
- 敷金・保証金・前払金・違約金の精算
- 家具・家電・共用設備・鍵・備品の回収又は処分
- 転居先、代替店舗、代替事務所の候補探し
- 退去しない転借人がいる場合の交渉・訴訟リスク
転借人が事業者である場合、転借人自身にも営業補償、休業補償、移転費が発生することがあります。サブリース事業者がその負担をどこまで負うのか、原賃貸人との間でどこまで補填対象にするのかを、合意書で明確にする必要があります。
シェアハウス運営で立退料が問題になる場合
シェアハウス運営は、サブリース・転貸の一類型として、複数の入居者、共用設備、家具・家電、清掃、管理規約、入居者募集費、共用部の管理、同時退去の難しさが問題になりやすい分野です。
シェアハウスでは、入居者が複数いるため、全員に同じ時期で退去してもらえるとは限りません。短期契約と長期契約が混在している場合、退去時期の調整、移転先の確保、共用設備の撤去、鍵の回収、入居者間トラブルの処理まで含めた工程管理が必要になります。
もっとも、本記事はシェアハウスの家賃相場や投資利回りを説明する記事ではありません。シェアハウス運営者が原賃貸人から明渡しを求められたとき、転借人対応や運営収益をどのように立退料交渉に反映するかを中心に整理します。
立退料として検討し得る主な費目
サブリース・転貸事業者の立退料では、通常のテナント移転費とは異なる費目が出てきます。ただし、次の費目がすべて当然に補償されるわけではありません。契約内容、終了原因、必要性、資料の裏付け、重複請求の有無を確認します。
| 区分 | 費目例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 事業者自身の損失 | 転貸収益、賃料差額、管理収益、投資未回収、入居者募集費 | 将来収益を全額請求できるとは限らない |
| 転借人対応費用 | 転借人への説明費、移転費、退去合意金、返金、敷金精算 | 実際に必要な費用と負担者を明確にする |
| 設備・内装関係 | 家具・家電、共用設備、内装、看板、鍵、システム、備品 | 残存価値、移設可否、原状回復との関係を確認する |
| 明渡し関連費用 | 原状回復、残置物処理、清掃、鍵交換、書類作成、通知 | 契約書の原状回復条項と敷金・保証金精算を確認する |
| 合意形成・手続費用 | 弁護士費用の一部、説明資料、通知書、合意書、登記・届出変更 | すべてが当然に補償対象になるわけではない |
テナント共通の移転費、原状回復、営業補償、休業補償については、テナントの立退料で請求できる費目と交渉の進め方も参考になります。本記事では、サブリース・転貸特有の三者関係と転貸収益を中心に説明しています。
貸主から提示された立退料が低い場合の進め方
原賃貸人から「転借人対応はサブリース事業者の責任」「転貸収益は補償しない」「引越しがないから立退料は少額で足りる」と説明されることがあります。しかし、サブリース・転貸では、物理的な引越し費用が小さくても、契約終了対応や転借人対応の負担が大きい場合があります。
提示額の内訳を確認する
まず、提示額に何が含まれているかを確認します。賃料差額、転借人対応費、敷金返還、原状回復、合意書作成、退去期限延期の扱いなどが不明なまま合意しないようにしましょう。
明渡し工程を作る
転借人への通知日、説明日、退去合意締結日、転居先確保、鍵返還、原状回復、原賃貸人への明渡し日を時系列で整理します。工程表があると、退去期限や立退料の根拠を説明しやすくなります。
転借人との紛争リスクを見積もる
転借人が退去に応じない場合や、移転費・返金・損害賠償を求めてきた場合に、サブリース事業者がどの程度の負担を負うのかを検討します。原賃貸人との合意書には、転借人対応の協力義務や費用負担をできるだけ明確に入れるべきです。
原賃貸人・転借人との合意書で注意すべき条項
サブリース・転貸では、原賃貸人との明渡し合意書だけでなく、転借人との退去合意書が必要になることがあります。どちらか一方だけを先にまとめると、もう一方との関係で想定外の責任が残ることがあります。
| 合意書 | 確認すべき条項 | 注意点 |
|---|---|---|
| 原賃貸人との合意書 | 明渡し期限、立退料、支払時期、支払条件、転借人退去遅延時の扱い | 転借人が退去しない場合の責任を明確にする |
| 原賃貸人との合意書 | 原状回復、残置物、敷金・保証金、清算条項、違約金 | サブリース事業者が過大な原状回復義務を負わないよう確認する |
| 転借人との合意書 | 退去日、移転費、敷金返還、残置物、鍵返還、免責・清算条項 | 退去後に追加請求が残らない形にする |
| 通知書・説明資料 | 契約終了理由、退去期限、相談窓口、費用負担、個人情報 | 説明内容が原賃貸人との合意内容と矛盾しないようにする |
合意書には、立退料の支払時期も重要です。明渡し前に一部支払うのか、転借人全員の退去後に支払うのか、原賃貸人の都合で支払が遅れた場合にどうするのかを確認しましょう。
裁判例から見るサブリース・転貸事業者の立退料
サブリース・転貸の裁判例では、金額だけではなく、契約が建物賃貸借と評価されるか、借地借家法の正当事由が問題になるか、転借人の地位を原賃貸人が引き受けるか、賃料差額をどのように見るかが重要になります。以下は個別事案であり、相場として一般化するものではありません。
シェアハウス運営で1500万円の立退料が相当とされた裁判例
東京地裁令和3年8月18日判決では、建物をシェアハウスとして転貸していた事案で、貸主側は解除又は解約申入れによる明渡しを求めました。裁判所は、解除については信頼関係破壊までは認めず、主位的請求を退けました。
一方で、解約申入れについては、貸主側の使用必要性、サブリース事業者側のシェアハウス運営、投下資本、法令不適合の指摘への対応などを総合し、800万円では不十分だが、1500万円の立退料で正当事由が補完されると判断しました。シェアハウス運営では、投資額や複数入居者対応が金額に影響し得ることを示す事例です。
転貸管理で100万円の立退料と指図による占有移転が認められた裁判例
東京地裁令和6年3月28日判決では、区分所有建物についてサブリース原賃貸借契約書と題する契約が締結され、サブリース事業者が第三者へ店舗・事務所として転貸していた事案が問題になりました。
裁判所は、契約が建物賃貸借契約に当たり、借地借家法28条の適用を受けると判断しました。その上で、原賃貸人が転貸人の地位を承継する前提などを考慮し、100万円の立退料で正当事由が補完されるとし、建物の直接明渡しではなく、転借人に対する返還請求権の譲渡と通知という形を認めました。
第三者への転貸目的で50万円の立退料が認められた裁判例
東京地裁平成27年8月5日判決では、第三者への転貸を目的とする建物賃貸借契約について、賃借人側の使用必要性が転貸による経済的利益に尽きること、貸主が転借人に対する地位を引き受ける立場にあることなどが考慮され、50万円の立退料で正当事由が補完されると判断されました。
この裁判例は、転貸収益や賃料差額が問題になる参考例ですが、すべてのサブリース・転貸で低額になるという意味ではありません。転借人対応の有無、投資額、契約期間、原賃貸人が地位を承継するかどうかによって結論は変わります。
交渉前に準備すべき資料
サブリース・転貸の立退料交渉では、契約構造、収益構造、転借人対応、明渡し費用を資料で示す必要があります。
契約関係を示す資料
- 原賃貸借契約書、マスターリース契約書、更新契約書
- 転貸承諾書、転貸借契約書、定期借家説明書
- 更新拒絶通知、解約申入れ通知、内容証明、交渉記録
- 敷金・保証金、原状回復、違約金、解除条項に関する資料
収益・投資を示す資料
- 原賃料、転貸賃料、共益費、管理料の一覧
- 入居率、空室期間、賃料入金履歴、月次収支表
- 決算書、確定申告書、会計資料、管理費・清掃費資料
- 内装、家具・家電、設備、広告、入居者募集費の領収書
転借人対応・明渡し費用に関する資料
- 転借人一覧、契約期間、退去希望時期、連絡先
- 転借人への通知案、説明資料、退去合意書案
- 移転費、退去合意金、敷金返還、原状回復の見積
- 代替物件候補、転居先候補、不動産会社とのやり取り
- 明渡し工程表、原賃貸人との合意書案
資料を準備するときは、単に書類を集めるだけでなく、「どの費用がなぜ必要なのか」「誰に対する支払いなのか」「原賃貸人との合意に含めるべきか」を説明できる形に整理しましょう。
弁護士に相談すべきケース
サブリース・転貸の明渡しでは、原賃貸人との紛争と転借人との紛争が同時に発生することがあります。特に次のような場合は、合意書に署名する前に弁護士へ相談してください。
- 原賃貸人から立退料なしで退去を求められている
- 契約が普通借家か定期借家か分からない
- サブリース契約が賃貸借か管理委託かで争いがある
- 転借人が多数いる、又は退去に応じない転借人がいる
- シェアハウス、民泊、宿泊系転貸など入居者対応が複雑
- 転貸収益や賃料差額の喪失が大きい
- 転貸承諾の有無や用法違反を指摘されている
- 転借人から返金、移転費、損害賠償を求められている
- 明渡し期限が短く、工程上間に合わない
- 原賃貸人又は転借人との合意書案に署名を求められている
よくある質問
サブリース契約でも立退料を請求できますか
請求・交渉できる余地があります。特に、原賃貸人側の建替え、売却、自己使用、更新拒絶、解約申入れで退去を求められている場合は、正当事由や立退料が問題になり得ます。ただし、契約類型や終了原因によって結論は変わります。
サブリース・転貸の立退料は家賃何か月分が相場ですか
裁判例データの傾向では、サブリース・転貸の立退料は平均値で家賃約10.7か月分です。ただし、これは固定相場ではありません。転借人対応、投資額、契約期間、賃料差額、原賃貸人側の必要性によって大きく変わります。
マスターリース契約の更新拒絶には正当事由が必要ですか
建物賃貸借と評価される契約で、普通借家の更新拒絶や解約申入れが問題になる場合は、正当事由が必要になることがあります。契約書のタイトルだけではなく、実際の契約内容と終了原因を確認する必要があります。
転借人がいる場合、立退料は高くなりますか
転借人がいることは重要な事情ですが、それだけで必ず高額になるとは限りません。転借人の人数、契約期間、退去の難しさ、原賃貸人が転貸人の地位を承継するか、サブリース事業者がどの程度の対応費用を負うかで変わります。
転貸収益や賃料差額は補償されますか
補償の検討対象になり得ますが、将来収益が当然に全額補償されるわけではありません。原賃料、転貸賃料、入居率、契約期間、空室リスク、投資回収状況、管理費用などを資料で説明する必要があります。
シェアハウス運営の場合、入居者対応費用は請求できますか
請求・交渉できる余地があります。複数入居者への通知、退去合意、転居先確保、敷金精算、家具・家電、共用設備、清掃、クレーム対応などを費目ごとに整理しましょう。
原賃貸人から「転借人対応は自分でやるように」と言われた場合はどうすればよいですか
まず、原賃貸人との契約、転貸承諾、転貸借契約、転借人の契約期間を確認します。転借人対応をサブリース事業者が負う場合でも、その費用や期限を立退料交渉に反映できる余地があります。
サブリース事業者が転借人に支払う退去合意金は原賃貸人に請求できますか
事案によります。転借人への支払いが明渡しに必要で、金額や必要性に合理性があり、原賃貸人側の都合による明渡しと関係する場合には、交渉材料になります。ただし、すべて当然に原賃貸人が負担するとは限りません。
普通借家と定期借家で立退料は変わりますか
変わることがあります。普通借家では更新拒絶や解約申入れの正当事由が問題になりやすい一方、定期借家では期間満了や事前説明・通知など別の確認事項があります。契約書と通知書を確認してください。
原賃貸借が合意解約された場合、転借人はどうなりますか
終了原因、転貸承諾、転借人の契約内容、合意解約の経緯によって整理が変わります。原賃貸人とサブリース事業者だけで合意しても、転借人との関係が残ることがあるため、自己判断で合意書に署名しない方が安全です。
シェアハウスの立退料相場はいくらですか
シェアハウスだけの固定相場はありません。複数入居者、共用設備、家具・家電、入居者募集費、投資額、入居率、退去工程によって変わります。家賃相場ではなく、転貸運営の損失と入居者対応費用を整理する必要があります。
原賃貸人との明渡し合意書に署名する前に確認すべきことは何ですか
明渡し期限、立退料の支払時期、転借人退去遅延時の扱い、原状回復、敷金・保証金、転借人対応費用、清算条項、違約金、秘密保持、協力義務を確認してください。
転借人との退去合意書は必要ですか
必要になることがあります。退去日、移転費、敷金返還、原状回復、残置物、鍵返還、清算条項、退去後の追加請求の有無を明確にすることで、後日の紛争を防ぎやすくなります。
サブリース・転貸の立退料交渉を弁護士に相談するタイミングはいつですか
更新拒絶通知や解約申入れを受けた時点、転借人に通知する前、立退料の提示を受けた時点、合意書案に署名する前が相談のタイミングです。契約書、通知書、転借人一覧、収支資料を持参すると相談が進みやすくなります。
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サブリース・転貸の立退料だけでなく、テナント共通費目や転貸先の業種別事情を確認したい場合は、次の記事も参考になります。
まとめ
サブリース・転貸事業者の立退料は、通常のテナント立退きと違い、原賃貸人、サブリース事業者、転借人の三者関係を整理する必要があります。裁判例データの傾向では、サブリース・転貸の立退料は平均で家賃約10.7か月分と整理されていますが、固定相場ではありません。
交渉では、契約書、転貸承諾、転借人一覧、原賃料・転貸賃料、収支表、投資資料、入居者対応費用、明渡し工程表、原状回復見積を整理しましょう。原賃貸人との合意だけでなく、転借人との退去合意や清算まで見通して進めることが、後日の紛争防止と適正な立退料交渉につながります。
