飲食店の立退料|営業補償・休業補償・厨房設備・常連客の補償

坂尾陽弁護士

飲食店の立ち退きでは、厨房設備や内装だけでなく、休業期間、常連客、立地、売上資料の整理が立退料に大きく影響します。貸主から提示された金額にすぐ合意せず、営業を再開するまでに必要な費用と損失を費目ごとに確認しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

 

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飲食店の立退料は厨房設備・常連客・休業補償で変わる

飲食店が貸主から建替え、老朽化、再開発、更新拒絶、解約申入れなどを理由に退去を求められた場合、立退料の交渉では「引越代だけ」では足りないことがあります。飲食店では、厨房設備、排気・給排水、客席内装、常連客、立地、休業期間、売上・粗利への影響が大きいためです。

裁判例データの傾向でも、飲食店は店舗系テナントの中で立退料が高額化し得る業種です。飲食の立退料は、平均値で家賃約73.9か月分と整理されています。もっとも、これは個別の裁判例を集計した傾向であり、すべての飲食店で同じ倍率が認められるという意味ではありません。

平均値を見るときの注意

家賃約73.9か月分という平均値は、厨房設備、営業年数、立地、売上、代替店舗の有無、貸主側の建替え事情などが反映された結果です。交渉では「平均だからこの金額」と主張するのではなく、自店舗で実際に発生する移転費・休業補償・営業補償を資料で示すことが重要です。

特に、居酒屋、喫茶店、カフェ、スナック、焼肉店、ラーメン店などは、業態ごとに設備や客層が異なります。本記事では、飲食店に共通する立退料の考え方と、業態別に注意すべきポイントを整理します。

立退料は「家賃何か月分」だけで決まりません

建物賃貸借では、貸主が更新拒絶や解約申入れによって借主に退去を求める場合、借地借家法上の正当事由が問題になります。立退料は、貸主側の建替え・老朽化・再開発などの事情と、借主側の営業継続の必要性を調整するために提示される金銭給付です。

そのため、立退料の金額は、家賃の何か月分という一つの計算だけで機械的に決まるものではありません。裁判所は、建物の老朽化、建替え計画の具体性、貸主・借主それぞれの使用の必要性、賃貸借の経過、店舗の利用状況、移転により失われる利益、提示された立退料の内容などを総合的に見ます。

飲食店では、営業許可や厨房設備の移設、客席・カウンター・個室の再整備、常連客の離脱、仕込みや休業期間の問題があるため、一般的な事務所や小規模店舗とは違う損失が発生することがあります。一方で、売上が下がる可能性を抽象的に述べるだけでは不十分です。費目ごとに根拠を整理する必要があります。

飲食店で立退料が高額化しやすい要素

飲食店の立退料は、店舗の規模だけでなく、店舗と営業との結びつきによって大きく変わります。次のような事情がある場合、立退料の交渉で丁寧に説明する必要があります。

要素 飲食店で問題になる理由 準備したい資料
立地・導線 駅前、繁華街、商店街、住宅地、オフィス街などの場所が来店数に直結しやすい 売上推移、客数、客層、地図、移転候補物件
常連客・口コミ 近隣住民、周辺勤務者、地域の常連客に支えられている店舗では移転で客離れが起き得る 予約台帳、会員情報、口コミ、SNS、Googleビジネスプロフィール
厨房設備 コンロ、冷蔵庫、フライヤー、ダクト、グリストラップ、給排水、ガス、電気容量が必要になる 厨房設備リスト、写真、設備見積、移転先図面
内装・造作 カウンター、客席、個室、看板、照明、音響、トイレなどが店舗の雰囲気と売上に関係する 内装見積、造作写真、工事契約書、減価償却資料
休業期間 移転工事、保健所対応、仕込み、スタッフ調整、告知のため営業できない期間が生じる 工事工程表、売上資料、固定費、人件費、休業予定表
代替物件の難しさ 排気、臭気、火気、深夜営業、面積、路面性などの条件を満たす物件が限られる 物件調査表、不動産会社とのやり取り、却下理由一覧

貸主から「飲食店でも通常の移転費だけで足りる」と言われた場合でも、上記の事情があるなら、資料をそろえて個別に説明する余地があります。

飲食店で請求・交渉し得る主な費目

立退料は一括の金額で提示されることもありますが、交渉では費目ごとに整理した方が、どこが不足しているのかを説明しやすくなります。

費目 内容 確認すべきポイント
移転費 厨房機器、什器、食器、在庫、看板、レジ、POS、書類などの搬出・運搬・再設置費 移転業者の見積、機器の分解・搬出可否
厨房設備費 冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、コンロ、フライヤー、オーブン、排気・ダクト、給排水、ガス工事 既存設備を移設できるか、新設が必要か
内装・造作費 カウンター、客席、個室、照明、音響、看板、トイレ、テイクアウト窓口など 現店舗の造作価値、移転先での再現可能性
休業補償 移転準備、工事、営業許可、仕込み、再開準備のため営業できない期間の損失 休業期間の必要性、粗利、固定費、スタッフ人件費
営業補償 移転後の売上低下、常連客喪失、再集客費用、広告費など 売上推移、客数、常連客、口コミ、商圏の変化
賃料差額・移転先取得費 移転先の賃料上昇、敷金、保証金、仲介手数料、内装工事期間中の賃料 移転候補物件の条件、契約初期費用
原状回復との調整 既存店舗の撤去、残置物、厨房設備、造作、保証金返還との関係 契約書、原状回復条項、貸主が造作を使う可能性
告知・再集客費用 移転案内、チラシ、Web・SNS修正、看板変更、予約客への連絡 告知方法、広告費、常連客への案内計画

店舗・テナント共通の費目や資料作成の考え方は、テナントの立退料で請求できる費目と交渉の進め方でも整理しています。本記事では、飲食店特有の費目を中心に見ていきます。

営業補償・休業補償は売上だけで計算しない

飲食店の立退料でよく問題になるのが、営業補償と休業補償です。ここで注意したいのは、売上そのものがそのまま補償額になるわけではないことです。

飲食店の売上には、食材費、飲料原価、消耗品、変動する人件費などが含まれます。休業によって失われる利益を説明するには、売上、原価、粗利、固定費、営業利益を分けて整理する必要があります。

注意

「休業期間中の売上全額」をそのまま立退料として請求しても、説得力を持ちにくいことがあります。売上だけでなく、粗利、固定費、休業期間の必要性、移転後の回復期間を資料で説明しましょう。

休業補償で確認すること

休業補償では、移転準備、搬出、移転先工事、営業許可、仕込み、スタッフ研修、プレオープン、告知期間などを考慮します。飲食店では、厨房が使えないだけで営業できなくなるため、工事工程表や営業再開日程が重要です。

営業補償で確認すること

営業補償では、移転後に常連客がどの程度来店し続けるか、客単価や来店頻度が変わるか、移転先の人通りや看板視認性がどう変わるかを確認します。予約台帳、売上台帳、POSデータ、Googleマップの口コミ、SNSのフォロワー、来店経路の記録が参考になります。

厨房設備・造作・原状回復で注意すべき点

飲食店では、厨房設備と内装造作が大きな争点になります。移転先で同じ営業をするには、単に厨房機器を運ぶだけでなく、排気、給排水、ガス、電気容量、床防水、防火、臭気対策を整える必要があります。

移設できる設備と移設できない設備を分ける

冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、調理台、椅子、テーブルなどは移設しやすい場合があります。一方で、ダクト、グリストラップ、給排水、ガス配管、造作カウンター、壁面収納、固定式の客席などは、移設が難しいことがあります。

設備ごとに、移設できるか、移設費がいくらかかるか、撤去・廃棄が必要か、移転先で新設する必要があるかを分けて見積を取得しましょう。

造作買取・原状回復・居抜きの関係

飲食店では、退去時に造作を撤去するのか、貸主が残置を認めるのか、次のテナントが居抜きで使うのかによって、原状回復費や立退料の考え方が変わります。契約書上の原状回復条項、造作買取請求に関する条項、保証金の償却、残置物の扱いを確認する必要があります。

「原状回復費を払う代わりに立退料を増やす」「原状回復を免除してもらう代わりに明渡し時期を調整する」など、金額だけでなく条件全体で交渉することもあります。

常連客・立地依存をどう説明するか

飲食店は、場所と営業が密接に結びつきやすい業種です。特に、駅前、商店街、繁華街、住宅地、オフィス街、観光地、病院や学校の近くなどでは、客層や来店経路が立地に左右されます。

常連客喪失を主張する場合は、「常連客が多い」という説明だけではなく、どのような顧客が、どの時間帯に、どの頻度で来店しているのかを資料で示すことが重要です。

  • 予約台帳、電話予約、ネット予約の記録
  • POSデータ、客数、客単価、曜日・時間帯別売上
  • 常連客カード、会員情報、スタンプカード、回数券
  • SNS、Googleビジネスプロフィール、口コミサイトの情報
  • ランチ・ディナー別の客層、周辺オフィス・住宅地との関係
  • 移転候補地との距離、徒歩圏・駅導線の違い

代替物件を探した記録も重要です。条件を満たす物件が見つからない場合は、排気設備が不可、深夜営業不可、面積不足、家賃過大、駅から遠い、同じ商圏ではないなど、候補物件を断念した理由を残しておきましょう。

業態別に見る飲食店の立退料交渉の注意点

飲食店といっても、居酒屋、喫茶店、スナック、焼肉店、ラーメン店では、営業への影響や設備の内容が異なります。業態ごとの特徴を交渉資料に落とし込むことが大切です。

居酒屋

居酒屋では、夜間営業、駅前・繁華街立地、常連客、カウンター、個室、酒類提供、スタッフ体制が問題になりやすくなります。常連客の来店頻度、宴会予約、近隣勤務者・住民との関係、深夜帯の売上構成を整理しましょう。

喫茶店・カフェ

喫茶店やカフェでは、固定客、長時間滞在、内装の雰囲気、コーヒー設備、軽食設備、近隣住民・オフィス客との関係が重要です。単なる物件移転ではなく、店の雰囲気や常連客の導線が変わる点を説明する必要があります。

スナック

スナックでは、常連客、地域密着性、カウンター、音響、内装、営業時間、近隣店舗との関係が問題になります。ただし、風営法や営業許可の詳細な説明に広げすぎず、立退料交渉に必要な範囲で、移転先で同じ営業ができるかを確認しましょう。

焼肉店・ホルモン店

焼肉店やホルモン店では、排煙、ダクト、臭気、火気、客席設備、床・壁の防火、防臭、近隣への影響が重要です。同じ商圏で、同じような排気設備を設置できる物件を確保できるかが争点になりやすくなります。

ラーメン店・蕎麦店・とんかつ店など

ラーメン店、蕎麦店、とんかつ店などでは、厨房設備、仕込み、排気・臭気、回転率、カウンター席、駅前・路面立地が売上に影響します。仕込み設備や特殊な厨房機器が移転先で再現できるかも確認しましょう。

裁判例から見る飲食店の立退料

飲食店の立退料は、裁判例でも高額になることがあります。ただし、裁判例の金額は、その事案の建物状況、賃料、営業内容、営業年数、鑑定結果、貸主側の必要性、借主側の使用継続の必要性によって決まったものです。自店舗にそのまま当てはめるのではなく、どの事情が考慮されたのかを参考にしましょう。

焼肉店について約2702万円の立退料が認められた裁判例

東京地裁令和6年7月30日判決では、長年同じ場所で焼肉屋を営んでいた店舗について、貸主側の建替えの必要性と、借主側の営業継続の必要性が問題になりました。裁判所は、建物の老朽化や建替えの必要性を認める一方で、焼肉店が商店街の一角に所在し、顧客の多くが徒歩圏内の利用者であることなどから、同程度の条件の代替店舗を確保することが容易ではない事情も重視しました。

そのうえで、立退料によって正当事由を補完する必要があるとして、2702万円の支払と引き換えに明渡しを認めました。焼肉店のように、商圏、常連客、排煙・臭気・火気設備、代替店舗の難しさが絡む業態では、単なる引越費用だけでは説明しきれないことがあります。

喫茶店について高額の立退料が認められた裁判例

東京地裁平成26年7月1日判決では、西新宿で喫茶店を経営する会社が賃借していた複数区画について、再開発に伴う明渡しと立退料が問題になりました。裁判所は、再開発計画やビルの空室状況を踏まえつつ、喫茶店側の営業内容や代替店舗への移転可能性、借家権価格、移転実費、営業損失などを検討しました。

この裁判例では、喫茶店として使われていた区画について、5120万円や5215万円といった高額の立退料が認められています。もっとも、複数区画、倉庫、借家権価格、営業損失などが絡む事案であり、喫茶店なら常に同程度の金額になるという意味ではありません。

裁判例を使うときの視点

裁判例は「同じ業態なら同じ金額になる」という資料ではありません。飲食店の交渉では、裁判例の結論だけでなく、営業年数、賃料、立地、代替物件の有無、設備、売上資料、鑑定結果のどこが重視されたのかを見ることが大切です。

貸主から立退きを求められたときの初動

貸主から退去を求められた場合、最初の返答で交渉の方向性が変わることがあります。口頭で退去日や金額に合意せず、まずは契約内容と貸主の理由、店舗側の損失を確認しましょう。

  1. 賃貸借契約書、更新契約書、重要事項説明書を確認する
  2. 貸主からの通知書、メール、建替え説明資料を保存する
  3. 退去理由、退去希望時期、提示金額、支払時期を確認する
  4. 厨房設備、内装、造作、原状回復の影響を洗い出す
  5. 移転候補物件を探し、賃料、工事費、営業可能時期を比較する
  6. 売上資料、粗利、固定費、客数、客単価、予約状況を整理する
  7. 返答前に、立退料交渉に詳しい弁護士へ相談する

貸主が「他のテナントは合意している」「飲食店でもこの程度が相場」「期限までに退去してほしい」と説明することもあります。しかし、飲食店では設備や営業への影響が店舗ごとに異なるため、他のテナントと同じ条件が妥当とは限りません。

立退料交渉で準備すべき資料

飲食店の立退料交渉では、資料を早めにそろえるほど、提示額が不足している理由を説明しやすくなります。資料は、単に集めるだけでなく、「何を証明する資料か」を意識して整理しましょう。

契約・建物関係の資料

  • 賃貸借契約書、更新契約書、覚書、重要事項説明書
  • 貸主からの解約申入れ、更新拒絶、建替え説明資料
  • 保証金、敷金、更新料、原状回復条項に関する資料
  • 店舗図面、厨房図面、現店舗の写真、内装・造作の写真
  • 過去の修繕、漏水、設備不具合、耐震説明に関する資料

営業・売上関係の資料

  • 確定申告書、決算書、試算表、月次売上資料
  • POSデータ、予約台帳、客数、客単価、曜日・時間帯別売上
  • 仕入伝票、原価率、メニュー表、粗利率、固定費資料
  • 従業員シフト、人件費、社会保険料、外注費
  • 常連客、口コミ、SNS、Googleビジネスプロフィールの資料

移転費・設備費・休業補償に関する資料

  • 厨房設備リスト、メーカー見積、移設可否の資料
  • 内装工事、看板、電気・ガス・給排水・排気工事の見積
  • 移転業者の見積、廃棄費用、在庫・食材の処分費
  • 移転候補物件の賃料、敷金、保証金、仲介手数料
  • 工事工程表、営業許可に必要な期間、休業期間見込み

資料をそろえる段階では、税理士、内装業者、厨房設備業者、不動産業者に協力を求めることもあります。特に、厨房設備や排気設備の見積は、現地調査をしないと正確に分からないことが多いため、早めに動きましょう。

提示された立退料が低いと感じる場合の進め方

貸主から立退料の提示を受けた場合は、金額だけでなく、支払時期、明渡し期限、原状回復、保証金返還、休業期間、移転先工事の遅れ、合意後の追加費用を確認します。

確認項目 交渉で見るべきポイント
提示金額の内訳 移転費、厨房設備、内装、休業補償、営業補償、原状回復免除が含まれているか
支払時期 移転先契約、内装工事、厨房設備発注の前に資金を受け取れるか
明渡し期限 移転先探し、営業許可、工事、告知に必要な期間が確保されているか
原状回復 厨房・ダクト・グリストラップ・造作の撤去費をどちらが負担するか
保証金・敷金 立退料とは別に返還されるのか、相殺されるのか
移転先が見つからない場合 期限延長や再協議条項を入れる必要があるか
営業再開後の売上低下 移転後の常連客離脱、広告、再集客費用を考慮しているか

店舗・テナント全体の相場感を確認したい場合は、店舗・テナントの立退料相場と増額交渉の考え方も参考になります。ただし、飲食店では設備や営業損失の個別事情が大きいため、相場だけで判断しないことが重要です。

合意書で確認すべき条項

立退料の金額がまとまりそうな場合でも、合意書に署名する前に、支払条件と明渡し条件を確認しましょう。合意後に追加費用が判明しても、再請求が難しくなることがあります。

  • 立退料の金額、支払期限、支払方法
  • 明渡し日と、移転先工事が遅れた場合の扱い
  • 保証金・敷金の返還時期と控除の有無
  • 原状回復義務の範囲と免除の有無
  • 厨房設備、造作、看板、残置物の扱い
  • 営業許可、移転告知、予約客への連絡の時期
  • 合意後に追加費用が判明した場合の再協議の有無
  • 明渡し遅延時の損害金や違約金の有無
合意前に確認してください

飲食店では、移転先の内装工事や厨房設備工事で想定外の費用が発生しやすくなります。一度合意書に署名すると、後から「厨房設備費が足りなかった」「営業再開が遅れた」と主張しても、追加請求が難しくなることがあります。

弁護士に相談すべきタイミング

飲食店の立退料交渉では、契約、正当事由、設備見積、売上資料、原状回復、合意書が絡みます。早い段階で相談するほど、交渉資料を整えやすくなります。

  • 貸主から退去期限を示された
  • 提示された立退料で移転費用や休業損失をまかなえない
  • 建替えや老朽化の説明に納得できない
  • 同じ商圏で移転先が見つからない
  • 厨房設備、ダクト、排気、グリストラップの工事費が高額になる
  • 営業補償や休業補償をどう計算すべきか分からない
  • 原状回復費や保証金返還で争いがある
  • 合意書案への署名を求められている

弁護士に相談する際は、賃貸借契約書、貸主からの通知、提示額、見積書、売上資料、厨房設備リスト、移転候補物件の資料を可能な範囲で持参すると、見通しを立てやすくなります。

よくある質問

飲食店の立退料は家賃何か月分が相場ですか

飲食の裁判例データでは、平均値として家賃約73.9か月分という傾向があります。ただし、これは個別裁判例を集計した結果であり、すべての飲食店でこの倍率が認められるわけではありません。厨房設備、売上、営業年数、常連客、代替物件、貸主側の事情を具体的に見る必要があります。

飲食店の休業補償は売上で計算できますか

売上だけで計算するのではなく、原価、粗利、固定費、人件費、休業期間の必要性を分けて考えます。売上資料、試算表、仕入伝票、POSデータ、工事工程表を用意し、営業できない期間の損失を説明することが大切です。

厨房設備を新しく買い替える費用まで請求できますか

既存設備を移設できるか、移設により故障リスクがあるか、移転先で同じ設備を設置できるかによって判断が変わります。全額新品購入費が当然に認められるとは限りませんが、移設不能の理由、耐用年数、メーカー見積を示すことで交渉材料になります。

常連客が離れることも補償対象になりますか

常連客喪失や売上低下は、営業補償の中で問題になることがあります。ただし、抽象的に「客が減る」と言うだけでは足りません。予約台帳、客数、客単価、売上推移、口コミ、移転候補地との距離などを整理して説明する必要があります。

居酒屋やスナックは飲食店記事の範囲に含まれますか

含まれます。ただし、居酒屋やスナックでは、夜間営業、常連客、酒類提供、カウンター、内装、音響、地域密着性などが特に問題になります。風営法などの詳細手続は別途確認が必要ですが、立退料交渉では移転先で同じ営業ができるかを整理しましょう。

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飲食店の立退料だけでなく、事業用テナント全体の費目や店舗・テナントの相場感を確認したい場合は、次の記事も参考になります。

まとめ

飲食店の立退料は、厨房設備、造作、内装、常連客、立地依存、休業期間、営業補償、原状回復との関係によって大きく変わります。裁判例データの傾向では、飲食は平均で家賃約73.9か月分と整理されていますが、個別案件では資料化と交渉方針が重要です。

貸主から立退きを求められた場合は、提示額に即答せず、移転費、厨房設備、内装工事、休業補償、営業補償、常連客喪失、原状回復、保証金返還を分けて確認しましょう。合意書に署名する前に、営業を再開するまでに必要な費用と損失を整理しておくことが、適正な立退料交渉につながります。

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