貸主や管理会社から立ち退きを求められたものの、口頭やメールでの話し合いが進まず、「内容証明を送った方がよいのでは」と考える借主は少なくありません。
立退き内容証明は、借主の回答内容や立退料の請求内容を記録に残す方法です。もっとも、送れば立退料が自動的に発生するわけではなく、書き方や送るタイミングを誤ると、かえって交渉を硬直させたり、不用意な退去承諾の証拠を残したりするおそれがあります。
この記事では、貸主から立ち退きを求められた借主側を対象に、内容証明の目的、送るタイミング、記載項目、文例、郵便局窓口・e内容証明の送り方、送付後の対応を解説します。
- 内容証明が証明するのは主に送付した文書の内容であり、記載内容の真実性ではない
- 配達日も残したいときは、一般に配達証明を併用する
- 退去を承諾していない段階では、承諾したと読める表現を避ける
- 金額が未確定でも、協議の申入れと権利留保を内容証明で伝えられる
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
立退き内容証明とは|借主が送る目的
内容証明は、日本郵便が、差出人が作成した文書について、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したかを証明する郵便サービスです。立ち退き問題では、借主が貸主へ回答書や立退料請求通知書を送る場面で利用されます。
ただし、内容証明によって証明されるのは文書を差し出した事実とその内容です。文書に書いた事実が真実であること、立退料の請求額が適正であること、賃貸借契約が終了していないことまで日本郵便が証明するわけではありません。
| サービス | 主に記録できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 内容証明 | 差し出した文書の内容、差出人・受取人、差出日 | 記載内容の真実性や請求の正当性までは証明しない |
| 一般書留 | 引受けから配達までの取扱い | 内容証明は一般書留にする必要がある |
| 配達証明 | 郵便物が配達された日 | 文書の内容を証明するものではない |
そのため、立ち退き交渉で「何を伝えたか」と「いつ届いたか」の両方を残したい場合は、内容証明に配達証明を付ける方法が一般的です。
内容証明を送れば立退料を必ず請求できるわけではない
貸主都合の立ち退きでは、貸主・借主双方の建物使用の必要性、従前の経過、建物の利用状況や現況、財産上の給付の申出などを総合して、更新拒絶や解約申入れの正当事由が判断されます。立退料は、その正当事由を補完する要素として問題になることがあります。
したがって、内容証明は立退料の法的根拠そのものではありません。賃貸借の種類、貸主が示した立ち退き理由、借主の使用継続の必要性、移転により生じる損失などを整理し、そのうえで請求内容を組み立てる必要があります。
正当事由と立退料の関係は、借地借家法の正当事由とは?立退料で補完される仕組みを解説で詳しく説明しています。
内容証明は交渉を始める唯一の方法ではない
立ち退きの通知を受けた直後から、必ず内容証明を送らなければならないわけではありません。初期段階では、貸主の事情や希望期限を聞き、契約書や資料を確認したうえで、面談やメールで協議した方が円滑に進むこともあります。
一方、口頭で伝えた内容が食い違っている、回答期限が迫っている、相手が一方的に退去合意が成立したと扱いそうである、交渉が停滞しているといった場合は、内容証明で立場を明確にする意味が大きくなります。
借主が立退き内容証明を送るタイミング
内容証明は、早ければ早いほど有利というものではありません。目的と交渉状況に応じて送る時期を選ぶことが重要です。
- 立ち退き通知への回答を記録したいとき:
退去を承諾していないこと、理由や条件の説明を求めることを明確にします。 - 口頭やメールの協議が進まないとき:
争点、希望条件、必要資料、回答期限を整理し、交渉を再開するきっかけにします。 - 短期間で署名や退去を求められているとき:
検討中であることと、合意前に明渡しを約束しないことを記録に残します。 - 立退料の金額や内訳を正式に提示するとき:
請求項目、算定根拠、資料の有無を示し、書面による回答を求めます。 - 調停・訴訟を見据えて経過を整理するとき:
それまでの協議経過と未解決事項を簡潔にまとめ、後の証拠化に備えます。
最初から対決的な内容証明を送らない方がよい場合
貸主が立ち退きの理由や希望時期を説明し、条件協議にも応じている場合には、いきなり断定的な請求書を送ることで相手が弁護士対応に切り替え、柔軟な話し合いが難しくなることがあります。
まず事実確認と条件整理を行い、必要に応じて「協議の申入れ」という穏当な文面から始める方がよいケースもあります。内容証明を使うかどうかは、文書の強さではなく、記録を残す必要性で判断してください。
借主が内容証明に記載する回答期限は、通常、法律で一律に決まった期限ではありません。相手が資料を確認して返答できる期間を考え、緊急性に応じて7日から14日程度を一つの目安にしつつ、短すぎる期限を一方的に設定しないようにします。
内容証明を送る前に確認する資料と方針
文例へ当てはめる前に、契約関係と交渉の目的を整理します。前提を誤ったまま内容証明を送ると、自分に不利な認識や金額を固定してしまうおそれがあります。
賃貸借契約と立ち退き理由を確認する
- 賃貸借契約書・更新契約書:普通借家か定期借家か、契約期間、更新、解約、原状回復、敷金、造作に関する条項を確認します。
- 立ち退き通知書:通知日、明渡しを求める理由、希望期限、立退料の提示、回答期限を確認します。
- 賃料の支払資料:滞納や契約違反を理由にされていないか、振込履歴や領収書を確認します。
- これまでのやり取り:メール、メッセージ、面談メモ、録音などから、誰が何を提案し、何が未合意かを整理します。
家賃滞納などの債務不履行解除と、建替え・自己使用など貸主都合の更新拒絶や解約申入れでは、争点が異なります。相手の通知の表題だけで判断せず、契約終了の根拠を確認する必要があります。
「退去するのか」「退去条件を交渉するのか」を決める
借主の希望が、立ち退きを拒否して使用を続けることなのか、条件が整えば退去することなのかで文面は変わります。条件付きで退去を検討する場合でも、合意前に「退去します」「明渡しを承諾します」と確定的に書く必要はありません。
「○月末までに退去します」「立ち退きには応じます」と先に書くと、退去自体は合意済みで、残るのは金額だけだと主張される可能性があります。条件が未合意なら、「条件が整うことを前提に協議する」「現時点では明渡しを承諾していない」と明確にします。
請求項目と根拠資料を整理する
立退料の請求額は、住居と店舗・事務所で検討項目が異なります。総額だけを記載するより、移転に伴う不利益を項目別に整理した方が、交渉の土台を作りやすくなります。
- 住居の場合:引っ越し費用、新居の礼金・仲介手数料・保証料、家賃差額、転校や通院など生活上の負担
- 店舗・事務所の場合:移転費用、新店舗の内装・設備費、休業期間の損失、広告・案内費、賃料差額、顧客や立地に関する不利益
- 共通する資料:見積書、候補物件資料、決算書・確定申告書、売上資料、設備一覧、写真、賃貸借契約書
金額交渉の進め方や資料の集め方は、立退料の交渉・増額(資料・期限・弁護士)も参考にしてください。
立退き内容証明の書き方|記載すべき項目
借主側の内容証明は、感情をぶつけるのではなく、対象となる賃貸借、通知への回答、協議事項を特定できるように作成します。長い法律論を並べるより、次の項目を簡潔に記載する方が伝わりやすくなります。
- 表題:
「立ち退き要請に対する回答書」「立退料等の協議申入書」など、文書の目的が分かる名称にします。 - 作成日・宛先・差出人:
貸主本人、法人貸主、委任を受けた代理人など、交渉権限を持つ相手を特定します。 - 対象物件と契約:
所在地、建物名、部屋番号、契約締結日などを記載し、別の物件と混同しないようにします。 - 通知を受けた経緯:
立ち退き要請を受けた日、相手が示した理由、明渡希望日を事実に即して記載します。 - 借主の現在の立場:
退去を承諾していないこと、説明や資料を求めること、条件協議を希望することを明確にします。 - 協議を求める条件:
立退料、明渡時期、支払時期、敷金、原状回復、造作・残置物、退去までの賃料などを列挙します。 - 請求額と内訳:
金額を提示する場合は、可能な範囲で費目別の内訳と算定根拠を示します。 - 回答方法と期限:
書面、メール、代理人宛てなど回答方法を指定し、合理的な検討期間を設けます。 - 権利留保:
本書面が契約終了や明渡しへの承諾、請求権の放棄を意味しないことを記載します。
請求額が未確定でも送れる
見積りや決算資料がそろっていない段階では、無理に金額を確定する必要はありません。「移転費用その他の損失を算定中であり、金額は追って提示する」「まず貸主の提案額と算定根拠を示してほしい」と記載できます。
早い段階で低い金額を確定的に請求すると、後から追加費用が判明しても、相手から「当初の請求額で足りるはずだ」と反論されることがあります。金額を提示する時点と、資料がそろう時点を分けて考えることが大切です。
立退料請求書との違い
「内容証明」は郵便の送付方法であり、「立退料請求書」や「回答書」は文書の内容・目的です。したがって、立退料請求書を内容証明郵便で送ることも、協議申入書を内容証明郵便で送ることもできます。
請求書の記載項目や複数の文例は、立ち退き料請求書の文例|書き方・記載項目・送付方法で確認できます。
借主側の立退き内容証明の文例
以下は、貸主都合の立ち退き要請を受けた借主が、退去をまだ承諾せず、立退料等の条件協議を求める場面を想定した一般的な文例です。物件や契約の内容に応じて調整してください。
【文例:立ち退き要請に対する回答兼協議申入書】
令和○年○月○日
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
賃貸人 ○○○○ 殿
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
賃借人 ○○○○
立ち退き要請に対する回答兼協議申入書
私は、貴殿から令和○年○月○日付け書面により、下記賃貸物件を令和○年○月○日までに明け渡すよう要請を受けました。
対象物件 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○マンション○号室
しかし、現時点において、私は本件賃貸借契約の終了および上記期日までの明渡しを承諾しておりません。貴殿が示された立ち退き理由、契約終了の根拠、建物の利用計画および明渡条件について、資料を含めてご説明ください。
私は、円満な解決に向けた協議を拒むものではありません。もっとも、移転には、転居費用、新たな賃貸借契約に要する費用、賃料差額その他の負担が生じます。そのため、明渡時期、立退料の金額および支払時期、敷金の返還、原状回復の範囲その他の条件を一体として協議する必要があります。
つきましては、本書面到達後○日以内に、上記事項に関する貴殿の提案を、書面によりご回答ください。
なお、本書面は、本件賃貸借契約の終了または明渡しを承諾するものではなく、私が有する一切の権利および請求を放棄するものでもありません。
以上
金額を提示する場合は、「立退料として○円を請求する」と総額だけを書くのではなく、別紙を同封せず、本文内で主要な内訳を簡潔に示します。見積書などの資料は内容証明に同封できないため、別便・メール・面談等で交付し、その送付記録を残します。
住居の借主が追加しやすい記載
住居では、家族構成、通勤・通学、介護、通院、保育、転居先の家賃水準など、移転による生活上の不利益が重要です。個人情報を必要以上に詳しく書かず、交渉に必要な範囲で具体化します。
例として、「子の転校を避けるため学期末までの居住が必要である」「同一学区内の候補物件では家賃が月額○円上昇する」「高齢の家族が通院しており、近隣での転居先確保に時間を要する」といった事情が考えられます。
店舗・事務所の借主が追加しやすい記載
事業用物件では、移転が営業へ与える影響を具体化します。単に「営業に困る」と書くのではなく、設備移設、内装、休業、従業員、顧客、許認可、広告、在庫、引っ越し工程などに分けて示すと、協議事項が明確になります。
例として、「厨房設備の撤去・再設置に相当期間を要する」「移転先で営業許可を取得するまで休業が発生する」「固定客への周知期間として○か月必要である」といった事情があります。売上減少や営業補償を主張する場合は、決算書、月次売上、予約状況など裏付け資料を準備します。
内容証明に書かない方がよい表現・注意点
内容証明は後から相手方や裁判所に読まれる可能性があります。勢いで書いた一文が、交渉上の譲歩や事実の自認として扱われることもあるため、次の点に注意してください。
- 根拠のない断定:
「法律上必ず○円を受け取れる」「貸主の請求は当然に無効」といった一律の断定は避けます。 - 退去の無条件承諾:
条件が決まっていないのに明渡日を確定したり、退去に同意したりする表現を入れないようにします。 - 過度に攻撃的な文言:
相手の人格を非難したり、支払わなければ評判を害すると示唆したりする文言は、交渉を悪化させます。 - 裏付けのない高額請求:
相場だけを根拠に総額を示すのではなく、自分の移転損失や使用継続の必要性を資料で説明します。 - 不要な法律用語の羅列:
条文や裁判例を長く引用するより、事実、要求、回答期限、権利留保を分かりやすく書きます。 - 広すぎる清算・放棄:
「本件に関する一切の請求をしない」などの文言は、最終合意書を確認する段階まで安易に受け入れません。
内容証明に証拠資料を同封できない
窓口の内容証明は、内容文書以外の図面、見積書、写真、返信用封筒などを同封できません。資料を示したいときは、本文で資料名を特定したうえで、別便の書留、メール、手渡しなど別の方法で送付します。
別送する場合は、「令和○年○月○日付け内容証明郵便で言及した見積書一式」と表紙に記載し、送信履歴、追跡番号、受領書などを保存すると、どの資料をいつ渡したか確認しやすくなります。
相手が弁護士を付けている場合
貸主代理人の弁護士から通知が来ている場合は、原則として指定された代理人宛てに回答します。貸主本人や管理会社へ同じ内容を重ねて送る必要性は、委任範囲や交渉状況を見て判断します。
相手の通知に「今後の連絡は代理人へ」と記載されているのに、本人へ直接強い連絡を繰り返すと、交渉が混乱することがあります。宛先や文面に迷う場合は、送付前に弁護士へ確認する方が安全です。
郵便局窓口で内容証明を送る方法と料金
郵便局窓口で差し出す場合は、内容文書、同内容の謄本2通、差出人と受取人の住所氏名を記載した封筒、郵便料金を準備します。訂正や契印に備え、差出人の印鑑も持参すると安心です。
- 内容文書1通
- 謄本2通
- 宛名を記載し、封をしていない封筒
- 郵便料金と、念のため差出人の印鑑
内容証明を取り扱う郵便局は限られます。差出予定の郵便局が取扱局か、受付可能な曜日・時間を含め、事前に確認してください。
窓口差出しの字数・行数
窓口で提出する謄本には字数・行数の制限があります。横書きでは、1行20字以内・1枚26行以内、1行13字以内・1枚40行以内、または1行26字以内・1枚20行以内のいずれかです。複数枚の謄本は、つづり目に契印が必要です。
正式な条件や作成例は、送付前に日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」で確認してください。
2026年6月時点の主な料金
定形郵便物で謄本1枚の内容証明を送る場合、2026年6月時点の基本的な料金は、郵便料金110円、一般書留料金480円、内容証明料金480円の合計1,070円です。差出時に配達証明を付ける場合は350円が加算され、合計1,420円となります。
謄本が2枚以上になる場合や、速達などのオプションを付ける場合は料金が増えます。料金は改定されることがあるため、日本郵便の内容証明案内で最新情報を確認してください。
e内容証明を利用する方法
e内容証明は、インターネットから内容証明郵便を差し出せる日本郵便のサービスです。郵便局へ文書を持ち込む必要がなく、文書の印刷、封入、発送は日本郵便側で行われます。
指定のWordひな形を利用し、文書枚数、余白、文字サイズ、使用できる文字や装飾などの作成規定に合わせる必要があります。図や表は使用できず、配達証明や速達はオプションとして付加できます。
- e内容証明が向く場合:
郵便局へ行く時間を取りにくい、文書が長い、修正履歴を管理しながらWordで作成したい場合 - 窓口差出しが向く場合:
担当者に形式を確認しながら差し出したい、パソコン環境や指定ひな形の操作に不安がある場合
利用条件、対応環境、料金、ひな形は変更される可能性があります。利用前に日本郵便のe内容証明案内を確認してください。
立退き内容証明を送った後の流れ
内容証明は送付して終わりではありません。到達状況を確認し、相手の回答を踏まえて、交渉、合意書、調停・訴訟のいずれへ進むか判断します。
- 追跡情報と配達証明を保存する:
差出人控え、受領証、追跡番号、配達証明書を一つのファイルにまとめます。 - 相手の回答を記録する:
電話で回答があった場合も、日時、相手、要点を記録し、必要に応じてメールで確認します。 - 条件を一体で交渉する:
立退料だけでなく、明渡日、支払日、敷金、原状回復、造作、退去までの賃料を同時に整理します。 - 合意前に鍵を返さない:
支払条件が未確定のまま明け渡すと、交渉の前提が変わることがあります。 - 訴状や呼出状が届いたら放置しない:
内容証明への返信とは別に、裁判所の期限に従って答弁書などの対応が必要です。
合意できた場合
条件がまとまったら、口頭の約束だけで明け渡さず、退去合意書を作成します。とくに、立退料を明渡し前に支払うのか、鍵の引渡しと同時に支払うのか、敷金や原状回復をどう精算するのかを明記します。
合意書の確認事項は、立退料の合意書(退去合意書)で押さえる条項|トラブル回避のポイントで解説しています。
回答がない・訴訟になった場合
内容証明へ回答がないからといって、借主が直ちに退去義務を負うわけでも、借主の請求が認められたわけでもありません。貸主の次の対応、契約終了の根拠、通知期間、正当事由、立退料の提案などを見て判断します。
裁判所から訴状や期日呼出状が届いた場合は、内容証明での交渉とは別の手続が始まっています。期限を放置せず、立ち退き訴訟(明渡し訴訟)になったら?流れ・費用・立退料の扱いを確認し、早めに対応してください。
立退き内容証明に関するよくある質問
内容証明を送らないと立退料を請求できませんか?
内容証明は必須ではありません。面談、通常郵便、メールなどで交渉し、合意することもできます。ただし、送付内容や到達日が後で争われる可能性がある場合は、内容証明と配達証明を利用するメリットがあります。
管理会社宛てに送ればよいですか?
管理会社が交渉窓口であっても、契約上の貸主や、交渉権限を持つ代理人が別にいることがあります。通知書、賃貸借契約書、管理会社からの案内を確認し、誰に意思表示を届けるべきかを整理します。必要に応じて貸主宛てを本送付先とし、管理会社へ写しを送る方法もあります。
立退料の金額を書かずに送ってもよいですか?
金額が未確定なら、無理に記載する必要はありません。資料収集中であること、貸主の提案と根拠を求めること、明渡条件を一体で協議したいことを記載し、金額提示を留保できます。
相手が受け取らず返送された場合はどうしますか?
不在、受取拒否、転居、宛先不明などで返送されることがあります。返送された封筒を開封せずに保管し、住所や法人登記、代理人の有無を確認したうえで、再送、通常郵便、メール、手渡しなどを検討します。返送時の法的な扱いは事情により異なるため、重要な期限がある場合は弁護士へ相談してください。
自分で作成した内容証明を弁護士名で送れますか?
弁護士へ依頼していないのに弁護士名義を使うことはできません。本人名義で送る場合も、事実関係、請求額、退去承諾の有無に関する表現は慎重に確認してください。弁護士へ依頼する場合は、資料を渡し、代理人として文書作成と交渉を任せる方法があります。
まとめ|内容証明は立場と交渉条件を正確に残すために使う
立退き内容証明は、貸主から立ち退きを求められた借主が、自分の立場、質問事項、立退料等の協議条件を記録に残すための方法です。内容証明を送ること自体を目的にせず、その後の交渉や合意につながる文面にする必要があります。
- 内容証明は文書の内容を証明するが、記載事実の真実性までは証明しない
- 配達日を残すなら配達証明の併用を検討する
- 合意前は、退去を承諾したと読まれる表現を避ける
- 請求額が未確定なら、協議申入れと権利留保を先に伝えられる
- 送付後は、立退料・明渡日・敷金・原状回復を一体で交渉する
すでに短い退去期限を示されている場合、相手の弁護士から通知が届いた場合、事業移転による損失が大きい場合は、内容証明を送る前に文面と交渉方針を確認することが重要です。
坂尾陽弁護士
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